「松森さん歓迎&数理学院立ち上げ記念セミナー」に参加してきました

2018年4月14日に行われた以下の勉強会についての自分なりのまとめ記事を書きたいと思います。

connpass.com

場所はφカフェという場所。このカフェは普段はAIとか機械学習とかデータマイニング系の人向けのところらしいのですが、徐々に数学系の人向けにもいろいろやって行くみたいです。(今度行ってみようかなぁ。)

phi.cafe

今回はセレモニー的な感じのセミナー(というかちょい長めのLTみたいな感じ?)なので、がっつり数学って感じではなかったですが、お気持ちが理解できるという部分ではいい感じの会だったと思います。 主催してくださった佐野さん、本当にありがとうございます。

1. 特性類の気持ち

講演者は佐野岳人さん。主催者の方です。

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Euler類、Charn類、Stiefel–Whitney類といったさまざな特性類をThom同型などの高度な幾何的な概念を使って定義していたので目玉が飛び出ましたが、障害理論とかをお気持ちを絵にかいて説明していただいたので気持ちだけは汲み取れたと思います。ホモロジーとかコホモロジーとかが表すある種の空間の引っ掛かりを表現するためのものと同じなのかなと感じました(違っていたらごめんなさい)

図とかで説明されると幾何ってすごいなーって感じますが、いざ修論とかの論文書く、、、と考えると数学的に厳密に定義して証明も破綻しないようにきちんとしないといけないかなーと思うとやはり幾何やってきた人はすごいなーと思うところでした。

あと、特性類の定義は実は産まれて初めて知りました。。。ほんとこの領域僕ど素人なんです。

2. リングトーラスを描いてみる!

講演者はずけやまさん。

今回は数学…というよりは美術よりの内容でした。

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トーラスを美しくデッサンするためのテクニックを披露していただきました。 テクニックとしては内側の円に相当する「投影図」的な円を描いていき…ていうのがコツみたいです。 ちなみに僕も描いてみたのですが・・・まぁ、綺麗に書くにはちょっと修行が必要ですよね、、、ってことで。

3. 超限帰納法で面白い「図形」を作る

講演者はzhanponさん。

順序数を使った「どんな直線とも必ず2点で交わる  \mathbb{R}^2上の部分集合が存在すること」の証明でした。 普通の数学的帰納法でなく「順序数ベース」の数学的帰納法を使った証明でした。 この方法、Zorn補題として僕らは今までバリバリ使っていたみたいです。実はこの数学的帰納法、やはり選択公理の恩恵に授かっているみたいです。

4. とある無限積=無限和タイプの等式について

講演者は中澤 俊彦さん。φカフェのスタッフの方です。

www.slideshare.net

無限積  \displaystyle \prod_{ n = 1 }^{ \infty } (1 - x^{n})^{a}を無限和に展開した際のロマンについての話でした。

整数の分割や分割数・ヤング図形・Hook長などを準備した後、  a=-1のケースがどのような形に分解されるかを紹介していました。無限積を無限和にするとこういう綺麗な形になるのはいいですね。

ただ、これだけでなくEulerの正五角数定理( a= 0のケース)や a= 3についてのケースも紹介されていました。証明しろって言われるとつらいっすね。。。。

ちなみに僕も完全には理解できていないので細かいことはかけませんが、、、 aの部分、を複素数に変えたケースでも綺麗に無限和に展開できぜ!という結果も初めて知りました。。これ、、、深いですね。。

こういう知見が実はサイバーグウィッテン理論とかと結びついているみたい、、、というのを聞くと熱くなりますよね。

個人的にはヤング図形って便利だなーって副次的な知見獲得を達成できたのでありますが。。

5. 組合せゲーム理論への招待

講演者は安福智明さん。数理学院の講師の方です。

Grundy数やNim和などを使って不偏ゲーム(Nim, シルバーダラー, ノースコット)、どうやったら勝てるか、みたいな話をされていました。

その場にいて雰囲気自体はわかりやすく楽しめたのですが、いざこうやってまとめブログを書こうとするといろいろ手が止まってしまうのが惜しいところです。。。(がんばれよ、自分・・・)

6. 数学的構造を用いた美学入門

講演者は吉田智哉 さん。数理学院の講師の方です。

美術と圏論には深い関係があるみたいですが…すみません、僕の知識ではおっかけられずブログにまとめることすらもままならない状況でした。。。orz

7. 3次元ホモロジー同境群について

講演者はモース関数さん。

今回の勉強会最大の難易度、、、とのことでした。触れ込み通りさっぱり(というわけではないですが)分からずじまいでした。

ただ、解析的なテクニックよりの証明が印象的でした。。。幾何でも厳密に証明しようとすると解析と向き合うんですね(というのは数学カフェの微分幾何予習会でも散々味わったが…)

8. Black-Scholesの面白さ

講演者はいとうさん。

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Black-Sholes方程式については確率過程とか伊藤積分とか勉強する過程で聞いていましたが、それぞれの式がどういう意味を持つか?をしっかり説明されたLTは初めて聞きました。

ちなみに理論的に詰めても実際お金を儲けるのに思う以上に寄与しないのは現実なのは間違いないです。。。でもその現実があるからこそお金を増やすこと、起業して上場して会社を大きくすることにロマンがあるんじゃないかなー(計算でお前はダメだと完全に否定することに意味はないから)と思ってみたり。

9. 微分形式でGauss 曲率を計算する

講演者は松森至宏さん。関西から今回上京された方です(歓迎されている方です)

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すみません、ストレートに言って僕的に一番わかりやすくとっつきやすい講演でした。

微分形式ってすごいごつい定義をしないといけなかったのですが、2次元で説明してくださってたのでだいぶ理解が早かったです。曲率を計算するのに第一構造方程式、第二構造方程式などを使ってやるやり方は初めてみたので、多様体的な前提知識がなくてもGauss曲率を扱うことができる!というのに勇気をいただいた気がします。

と同時に、曲面論とかベクトル解析とかはしっかりやることはやっぱり微分幾何を理解する最大の一歩なのかなと思うところでもありました。(具体的な計算や図形を持って数学的概念を理解する格好の素材として)

10. ランダムとはどういうことか?

講演者はひじてぃさん。

t検定やz検定などのパラメトリック検定からのノンパラメトリック検定の紹介でした。 統計的仮説検定って帰無仮説を正しいのを証明できなかったら確かに何もできないんですよね。。。(でも、現在でも統計解析の現場では使われているんです。。。)

Rなどのサンプルコードが出ていたのが数学の勉強会にしては珍しいなーと思いました。(pythonとかのサンプルコードみてみたいですが)

ちなみに0,1の並びとか見ると隠れマルコフとか考えてしまった自分は病気でしょうか。。。

11. 「ガロア表現」を使って素数の分解法則を考える

講演者はtsujimotterさん。

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案の定理解しきれませんでしたが、楽しかったです。絶対ガロア群とかガロア表現のお気持ちは少し理解できた気がします。 この世界のディープな世界を理解するにはやはりp進整数環とかと友達にならないと辛いのかとか考えていたりしました。。。 tsujimotterさん、僕からすると難しいテーマについてお話しされていますが、なぜか気持ちよく聞かせてくれるのですごいですよね。

ちなみに僕の中でこの発表が一番いい意味で印象的でした。(これ、この発表の感想でもなんでもないですが…)

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12. 結び目と現代数学

講演者はルシアンさん。

…すみません、時間が押してしまっていたためこの発表聞かぬまま出て行きました。 聞きたかったです。。orz

所感など

今回このような素敵な勉強会を企画してくださいまして、本当にありがとうございました。

おかげさまで自分の知らない数学の世界についての知見を増やすことができました!あと、φカフェがAIなどについて知見や人脈?を増やすには本当に最高の場所なのかな!と思ったりしたのも事実です!

雑な感じのまとめですが、、、次回このような勉強会があったら発表してみたいですね。。とはいえ、自分最近純粋数学というよりは機械学習の実践的な部分(理論的な部分も勉強していますが数学じゃないしなー)の学習が色濃いですからね。。。